熱中症
大きくわけて熱によっておこる場合と、電解質の喪失を含む脱水によっておこる場合があります。
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熱によっておこる場合(校長先生の話を聞いて倒れるのが日射病、炎天下のスポーツでおこるのが熱射病。熱射病の方が圧倒的に怖いです)
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熱失神(日射病)
熱を逃がす為に皮膚血管の拡張がおこり、これによって血圧が低下、脳血流が減少して起こります。
脈は速くて弱くなります。
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めまい 一時的な失神 顔面蒼白
しばらく涼しい所で風を当てたりして体温をさげるようにすれば回復します。
(注意点) 炎天下のスポーツで倒れたら日射病ではありません。熱射病です。
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熱射病
体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がみられたり、ショック状態になる場合もあります。
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体温が高い 意識障害 呼びかけや刺激への反応がにぶい 言動が不自然 ふらつく
極めて危険な状態で早急に全身に水をかけ風をあてアイスパックなども利用して冷やして、早急に集中治療室のある病院に救急車で搬送する必要がありますが、それでも死亡率が高いです。
暑い所で運動する時は少しでもだるく感じたら中止する事です。運動時には熱失神はほとんど起こらないので、運動時に倒れたら熱射病を疑って早急に処置して下さい。
これらは暑さによって体温が上昇して起こる現象ですので、水分を充分にとっていてもおこします(脱水時には汗が減るので起こしやすいですが)。
とくに直射日光のあたる気温の高い所での運動は厳禁です。サッカーやアメフトでは熱射病の確率が極めて高くなります。野球でも本来は危険です。
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電解質の喪失を含む脱水によっておこる場合
熱けいれん
大量に汗をかき、水だけを補給し続けて血液の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こります。
汗は血液から細胞成分を除いた血漿を再吸収して必要なものを血液にかえしてつくられます。つまり、汗は少しずつ出る時はほとんど水ですが、多量にでる時は再吸収が追いつかなくなり、かなり濃くなります。
流れるような汗が出る場合には塩分の補給が必要です。そうでなければあまり塩分の入った飲料水は必要でないです。
スポーツドリンクは暑い所でスポーツをする人には必須ですが、一般人が普通に汗をかいているだけでは、普段の塩分量にもよりますが必要がない事が多いです。
これを勘違いして、スポーツする人でもいらないと思って、たまになる人がいます。
症状は、筋肉痛、手足がつる、筋肉がけいれんする
治療は塩分の多い点滴をするだけです。
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熱疲労
大量に汗をかき、水分と塩分の両方の補給が追いつかないと、身体が脱水状態になり熱疲労の症状がみられます。熱けいれんと違って、塩分だけでなく水分もたりない状態です。
あまり症状がでないので余計に危険です(十年前ぐらいまで水のんだ方がしんどくなるからスポーツ中に水を飲むなと言われるのは、熱疲労より熱けいれんの方が症状がきついからです)。
この状態で無理にスポーツすると、熱射病になりやすかったり、怪我もしやすいです。血流も低下するので免疫が低下し、夏風邪にもなりやすいです。
全身倦怠感、悪心・嘔吐(消化管の血流低下)、頭痛(筋肉の血流低下)
集中力や判断力の低下(脳の血流低下)
治療は塩分と水分の両方の補給が必要です。塩分を多めにとって水分補給して、冷房入れて安静にしていれば治ります。
脱水をすると全身の血流低下を引き起こしますので、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなります。
そこまで行かなくても、血流低下により筋肉がつかなくなりますので、練習が無駄になります。
夏は根性で運動せずに、細心の注意をして熱中症にならないように練習しましょう。